2023/04/11 20:29


手銛作成にチャレンジしてみたいと言う方に私なりのアドバイスを書いてみようと思います。

自分は自分用の手銛を恐らく30本くらい作りました。この数は一番最初に作った竹ヤスダブル継ぎや釣竿先っちょだけ銛付きなどガラクタも含めます。販売用には3ケタの手銛を作ってきました。

その自分用の30本という数字は多いのか少ないのかは個人の評価が分かれる所なので何とも言えない数ですが、良い銛を作るための海での実用のテスト回数と思って下さい。

まず、手銛を作る前に大切なのは使用イメージ。とにかく早い手銛が良いのか貫通力重視なのか初速と貫通力の両方が程よく欲しいのかで、手銛の浮力と重量と長さを決めます。


無駄な凹凸を省いてゴルフクラブを使用したシャープな銛先である前提で、手銛の特性を簡単に説明すると、軽量の手銛は初速は早いが伸びが無く失速も早い。また、貫通力が無い。穴突きまたは小型魚向き。


重量級の手銛は初速は遅いが貫通力があり伸びも良く失速も遅い。遠方から狙う又は大型魚向き。


⚫️初速重視なら3.2m未満重量600g未満で引きゴムは10mm2本引きか10mm以上の一本引き。

⚫️貫通力重視なら長さは任意重量600g〜1kgのガッツリ重く引きゴムは10mm2本引きか12mm以上の一本引き。

⚫️両方欲しい欲張りさんならこれがちょい難しく、長さは3.8m未満中性浮力で600〜700g以上ゴムは10mm2本引きか12mm以上の銛が折れない程度で自分の引けるだけの太いゴム。


(※ちなみに自分の手銛は3.8m重さ800g両テーパーでゴムは16mm1本引きです。60cmのゴムを中間よりやや先端寄りまで半周から一周巻きで引きます。ゴムを引いて構えて銛先から2.5mくらいの魚ならなんとか狙えます。)


が、作成目標になると思います。


ここで重要なポイントが見えてきたかと思うのですが、重要なのは軽量化するか重量化するかともに出来るだけ中性浮力を目指して作ると言うのがポイントで、その為にはカーボンシャフトの中空部で浮力を賄うという事です。


手銛は先端で受ける水の抵抗を減らす事と手銛の凹凸を無くしスムーズな水流を作る事と手銛本体の水との摩擦抵抗、後端のゴムが引っ張られている時のゴムの抵抗、コレらを出来るだけ少なくして中性浮力で仕上げれば最高の1本が出来ます。


これらを考慮して作成すれば大満足の一本が完成しますがそこまではイバラの道です。まずは一本作ってみたらその訳がわかります。なので今回は手銛作成の入り口となる簡易的な手銛作りを説明しようと思います。


まずは材料を揃えます。

必要材料はゴルフクラブ最低四本

 ステンレス高ナットm6×2 m8×2



12mmステンレスパイプもしくはアルミパイプ20cm


ステンレスm8ズン切りボルト10cm



ステンレスアイボルトm6



必要工具は電動グラインダー



①一般的に簡単に手銛を作る方法はステンレス製高ナットを使用する方法で、先端金具にはステンレスm6高ナットが内側にピッタリもしくは叩けばキチキチ入る程度のアルミもしくはステンレスパイプにステンレスm6高ナットをエポキシ接着剤を塗って叩き入れ高ナットのパイプ反対側にゴルフシャフトの先端の細い方をエポキシ接着剤を塗り塗りして挿入します。希望の長さになるまでゴルフクラブを電車継ぎしていきます。

※ここでアルミパイプを記載しているのは内径がピッタリ合わない場合にアルミで代用するためです。異種金属の接触については下記参照。


②次にセンター金具。センター金具にはステンレスm8高ナットを使用します。ステンレスm8高ナットをゴルフクラブの太い方から取り敢えず何も塗らず挿入し、引っかかる所までチビチビとカットして行きます。最後に一旦高ナットを取り出しエポキシ接着剤を塗り再度挿入し軽く叩き入れ硬化させます。同じものを2本作れば真ん中はステンレス製のズン切りボルトで連結させます。この時ズン切りボルトが共回りするので片方はエポキシ接着剤を塗って高ナットと接着してしまう方が良いです。


③次に後端金具です。①で作ったものをもう一本つくりネジ穴にステンレスアイボルトを捻じ込めば後端金具が完成です。


④ここまでで重要なポイントが一つあり、それぞれの金具をゴルフクラブに接着する前にあらかじめ内部に水が侵入しないように穴を塞いで置く事で、コーキング剤やエポキシ接着剤を流し込んで穴を塞いでおかないと水が侵入し、手銛の比重が上がってしまい全然飛ばない手銛になります。


⑤ゴルフクラブはアイアンがおすすめ。ドライバーは肉厚が薄いので折れやすいです。また、電車継ぎした時繋ぎ目に隙間が有る時は中に入れている方のシャフトが長いので少しカットすればピッタリはまります。


⑥以上で簡単に取り敢えずの手銛はつくれます。使用材料が他にいい物が見つかれば使用してチャレンジしてみても面白いでしょう。毎日ホームセンターに行くのがたのしくなります。



※押し棒とチョッキ作りは更に高度になるので最初のうちは上記のみ作り他は購入がおすすめです。押し棒はステンレスのダイス加工が必要でチョッキ作りは最低でも卓上ボール盤が必要になります。


※ステンレスは加工時に発生する熱で硬化を起こす特性があります。一度硬化すると切削がかなり強固になります。また、異種金属は接触させないと言うのが一般的なセオリーでステンレスは自分より弱い金属を激しく錆びさせる特性があります。ステンレスと下位相互の金属(鉄、アルミ等)を接触させれば下位の金属は折れやすく錆びやすくなります。


※ステンレスには様々な種類があり特に一般的なステンレス304というステンレスはいくら熱して炙って冷やしても全く焼きは入りません!焼入れどころかステンレス自体を弱らせ錆びやすくなるだけです。くれぐれもステンレス304をバーナーで炙ったりなどはしないように。


以上ここに記載した手銛作りは初歩の初歩で重量や長さや浮力や抵抗を考慮には入れていない取り敢えずの手銛作成方法です。当然ながら、芯出し作業も無いため2本を継いだらセンターで必ず曲がった物ができます。しかし、実際に海に持って出ればまあまあ使えたりします。自分の手銛で突いた魚はめちゃくちゃ嬉しい事間違い無いです。


自分も最初のころはこの仕様のカーボン手銛で遊んでいました。時が経つにつれ追求する様になり今に至ります。


このブログを読んでいただいている皆様も自分と似た気持ちをお持ちとの事かと思います。チャレンジしてみてわからない事があればお気軽にお声掛けください。また、同じような似た物同士で合突なんかもあれば楽しみです。そんなお誘いもお気軽にお声掛けくださいね。


では良い手銛ライフを!ご安全に!